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TOC(制約条件理論)による生産革新の概要

TOC(制約条件理論)による生産革新の概要
―スケジューリングシステム有効活用のために―

株式会社 日本総合研究所
総合研究部門
上席主任研究員 久道雅基


TOC Theory Of Constraints:制約条件理論)が日本でブームを巻き起こして約7年が経過した。しかし多数の製造業と情報交換してみると、まだまだ浸透していないのが現状である。TOCとは一見複雑に見える問題に対して、シンプルな解決策を系統立てて提供する経営哲学で、この管理手法を適用することによって企業のゴール達成を阻害している制約条件を特定して解消し、適切な意志決定が出来るように変革していくことができる。つまり一言で言うと真の全体最適を実現する理論であり、現在では製造業のみならずサービス業、政府・公共機関、医療機関や防衛分野等で適用されている。


とはいえ、製造業の生産分野への適用が下火になっているわけではない。本理論の発祥分野である生産革新では、依然として短期間に劇的な効果を上げ続けているのである。しかももの作りでは世界一との自負があるこの日本の中でさえである。筆者が生産革新を支援した企業では3ヶ月から6ヶ月前後で劇的な効果を上げることが出来ている。


進め方はまず様々な問題をあぶり出し、次にそれは何か直接的な行動によって引き起こされていないかどうかを確認する。本来とらなければならない行動がとられていない、あるいは、とってはならない行動(Behavior)をとってしまっているかどうかを確認するのだ。これらの行動は評価指標(Measurement)もしくは、その上位にある方針(Policy)によって引き起こされていると考える。個々の作業者や機械あるいは工程の稼働率が向上すれば工場全体の生産性が向上し、ひいては会社全体の生産性が向上すると考え行動するというのが代表的な例である。実際には個々の効率を追求するとかえって全体の生産性を阻害する場合が多い。このような例は実は枚挙にいとまがない。特に、業務設計時に勤務シフト、生産設備割付や要員配置ルールなどを確認していくと、「昔から、このルールだから」あるいは、「A製品専用ラインだから他の製品は流さない」などのような回答が帰ってくる場合が多い。レベルは様々であるがまだまだ方針が制約になっている工場が多い。


上記のポイントを理解した上で業務設計を終えた後、実践に移っていくためには、情報システム、特にスケジューリングシステムが必要となる場合が多い。このとき業務設計に関与していない実務担当者やシステム担当者に任せてしまう場合が多いが、設計内容にこだわりを持たないメンバーが担当してしまうと、簡単に現状のやり方・ルールに流されてしまう危険性が大きい。業務設計に関与したメンバーをしっかりと参画させることにより、製造ロットサイズ、移送ロットサイズ、工程の稼働方針、生産設備の割り付け、要員の配置等こだわりを持って設定したルールをシステム構築に反映することにより、短期間に劇的な効果を上げることが出来るのである。